研究課題/領域番号 |
15H06556
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
井上 さや子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (30758967)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 暴力 / 看護師 / ガイドライン / 心的外傷後成長 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、患者から暴力を受けた看護師に対する成長支援ガイドラインを作成することである。本研究の基盤研究において、患者から暴力を受けた精神科看護師は自責感や後悔、羞恥心などの自己概念が揺さぶれる苦しい思いを抱きながらも、体験から成長していることが明らかとなった。そのため、本研究では精神科以外の看護師にも対象を広げ、患者から暴力を受けた看護師の成長の内容の一般化と、成長プロセスを検討することによって、被害にあった看護師への成長支援ガイドラインの作成を目指している。 平成27年度は、基盤研究のデータを用いた再分析を行った。患者から暴力を受けた精神科看護師は、《踏みとどまる》成長を得た後、自分や患者、周囲に対する《認識が変化》し、《責任感の高まり》を得て、ごく少数の人が《成長の実感》を得ていた。また、看護師の経験年数によって、暴力を受けた体験の主観的捉えや感情が揺れる程度、踏みとどまり方に差があることが考えられた。これら再分析の結果は、その後のデータ収集や分析の基礎資料とした。また、平成27年度は、再分析の結果を用いてインタビューガイドの見直しを行い、精神科以外で勤務している看護師数名に対してインタビューを実施した。現在この新たなデータを用いて成長の内容抽出と分析を進めている。 平成28年度は、データ収集の継続と、成長の内容とプロセスに関する分析を行い、論文投稿、成長支援ガイドラインの作成および洗練化に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の目標①の基盤研究のデータを用いた再分析に関しては、予定通り実施することができた。しかし、論文投稿に関しては、論文募集のタイミングがあわず、本年度では再分析の内容を含めた結果で投稿することができなかった。そのため、基盤研究の内容で投稿し、査読を受けることによって、研究の妥当性を確認することとした。 目標②の精神科以外で勤務している看護師15名に対するデータ収集に関しては、実施を進めているところである。しかし、対象者への倫理的観点から対象者へのアクセスが難航し、現在のデータ収集数は7名となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に収集した7件のデータ分析を進め、データ飽和の程度を見ながら追加のデータ収集を検討し実施していく。平成28年8月までにプロセスに関するデータ分析を終了し、平成29年11月までにガイドライン案を作成、5名程度のエキスパート(暴力を受けた看護師に対してサポート経験を持つ精神看護専門看護師や看護管理者など)に対してフォーカスグループインタビューを実施し、ガイドラインの洗練化を行う。
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