本研究は、地域包括支援センター(以下支援センター)における保健師の活動実態と認識を保健師と支援センター内の他職種の視点から明らかにし、保健師活動モデルを構築することを目的としている。 平成28年度は、まず平成27年度に実施したインタビュー調査のデータを支援センターの保健師が行なっている活動と抱える課題について分析し、その結果を元に質問紙の内容や調査方法を検討した。その後、支援センターの保健師・社会福祉士・主任支援専門員を対象とした質問紙調査を実施した。人口規模、施設数、運営形態、運営体制で層化抽出し、各職種約1000、計3197施設(1施設1職種1人)へ郵送にて調査を依頼した。回答は、保健師248人、社会福祉士218人、主任介護支援専門員721人(回収率22.6%)から得た。その結果から、支援センターの保健師活動として重要と考えられている活動内容を検討した。保健師業務に関連する地域高齢者への相談支援業務(電話相談、窓口相談)、地域住民主体の地域組織育成に関する項目で重要性の認識に保健師と社会福祉士・主任介護支援専門員間で有意な差がみられたが、社会福祉士と主任介護支援専門員との間の有意差はほとんどみられなかった。介護予防ケアマネジメントに関する業務では保健師と他職種間での重要性の認識に有意な差はなかった。実施状況はほとんどの項目で保健師より他職種の方がよく実施できていると認識が高かった。職種間の認識の差の背景と認識の差が保健師活動に及ぼす影響を検討していく必要がある。
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