本研究は,英語学習者が文と文をつなげて文章を理解するメカニズムを,文間の因果的・意味的な関連に着目して明らかにすることを目的とした。因果的関連とは2つの文に原因と結果という関係があることを指し,意味的関連はコーパスと統計分析に基づく手法(潜在意味解析)によって算出される2つの文の意味の類似度を指す。実験では,因果的・意味的関連度が異なる2文1組の英文を用意し,日本人大学生がそれらの英文を読解した。その結果,学習者は因果的・意味的な関連が強いほど英文の内容が一貫していると判断しやすく,内容の記憶もしやすいことが明らかになったが,その影響は学習者の読解力によって変わる可能性が指摘された。
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