大気汚染公害訴訟において「地域再生」の視点を取り入れることは、和解金をもとに運動を継続させる主体を組織化することを可能にしたという点において、ある一定の意義がある。一方で、訴訟において「地域再生」の視点を取り入れる必要がなかった地域においても、運動が再開されていることから、過去に公害被害と公害訴訟を経験したことが、住民運動としての公害反対運動に影響を及ぼすのではないかという仮説を導き出した。また、大気汚染公害問題と向き合い続けてきた公害患者運動から学ぶことは多く、その経験は生かされなければならない。経験から学び、教訓として活かす主体は、公害が発生した空間と時間を隔ててはいるが、私たちにある。
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