研究課題
運動ニューロン疾患の一種である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の責任病巣ではCu/Zn-superoxide dismutase(SOD1)タンパク質の不溶性凝集体が異常蓄積している。また、病変部位は疾患の進行とともに、責任病巣の周囲に拡大していくことが知られている。本課題では、ALSの病変部位拡大の分子メカニズムを、不溶性SOD1凝集体のシーディング現象の観点から明らかにすることを目的とした。具体的には、ヒトSOD1トランスジェニック線虫にシードとして不溶性SOD1凝集体を暴露し、生体内でシーディング現象が誘導されるか検討した。また、シードを導入した結果、線虫の生存期間や運動機能に及ぼす影響も併せて解析した。まず、線虫体内に不溶性SOD1凝集体を導入するために、大腸菌にヒトSOD1をトランスフォームし、温度制御により菌内でSOD1を凝集させ、食餌として経口摂取させる方法、および、試験管内で調製した精製SOD1凝集体を暴露させる方法をそれぞれ確立した。次に、緑色蛍光タンパク質と融合させたL126X変異型SOD1を発現するトランスジェニック線虫に対して、SOD1凝集体を形成した大腸菌、または、精製SOD1凝集体を暴露させ、凝集化促進・伝播の検証を試みた。残念ながら、いずれの方法でシードを導入しても、線虫体内でSOD1の凝集化は誘導されなかった。さらに、シードを導入しても、線虫の生存期間および運動機能は、可溶性SOD1を暴露させた線虫と同程度であった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.chem.keio.ac.jp/~furukawa/