研究課題
昨年度に引き続き、特異性の改変を目指し、コンピュータによる抗体設計を行った。具体的には以下の4つの成果を得た。(1) デザインを志向した、抗体の立体構造及び抗体-抗原複合体構造予測法の高度化を実施した。複数のテンプレートを鋳型として用いることで、抗体VL/VHドメイン間の相対配置に柔軟性を取り込むことができ、より精度の良いモデル構造の構築が可能となった。この新たな手法を用いて、設計の鋳型となる抗体の立体構造を構築した。その予測構造を基にして分子設計を行い、現在、物理化学測定によりその検証を試みている。(2) 抗体-抗原複合体や蛋白質間相互作用の分子認識機構を、シミュレーションにより、「induced-fit」及び「conformer selection」の視点から議論した。蛋白質の立体構造の揺らぎとエネルギー地形及び分子認識の相関性を明らかにした。また、特異性の改変には、2つの状態(multi-state)を考慮した設計が重要であることが示唆された。(3) 抗体-蛋白質抗原と、抗体-ペプチド抗原間の相互作用様式の違いを明らかにした。特に、蛋白質抗原上のエピトープを同定する際に、しばしば断片化したペプチドが用いられるが、その潜在的な問題点を指摘した。(4) 抗原認識に関わっているとされる抗体フレームワーク領域のアミノ酸残基がいくつか報告されているが、その具体的な役割まで言及されているものは少ない。シミュレーションを用いてそうしたアミノ酸残基の特徴づけを行い、その役割を立体構造の観点から明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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