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2015 年度 実績報告書

社会的排除と女性の健康:ライフコース・アプローチによる公衆衛生ニーズの体系化

研究課題

研究課題/領域番号 15H06614
研究機関聖路加国際大学

研究代表者

谷口 麻希 (梅田麻希)  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40424311)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワード健康格差 / 健康の社会的決定要因 / ジェンダー / 精神保健
研究実績の概要

社会的排除の理論的背景を理解するために、文献レビューを行った。また、社会的排除に関する実証研究をレビューし、社会的排除に関する研究の動向を把握した。その結果、①社会的排除を直接測定している研究が限られていること、②中でも女性に特有の社会的排除と健康の関連を検討した実証研究研究は少ないこと、③①②について、日本ではまだ研究が行われていないことがわかった。これらのことから、日本における社会的排除と女性の健康について、探索的な研究を行うこととした。以下の研究では、社会的排除の代理指標として広く用いられている職業的地位と精神的健康(抑うつ)の関連について検討した。
【Does an advantageous occupational position make women happier in contemporary Japan?】
日本の労働者コホートデータを用いて職業と精神的健康の関連を男女別に分析し、女性に特有のパターンを検討した。その結果、女性ではより高い職業的地位(管理職・専門職)の者で精神的な健康度の低下がみられた。男性では、職業による精神的健康度の違いは見られなかった。職業的地位の高い女性で精神的健康の悪化がみられたのは、管理職や専門職に就いた女性が、仕事の報酬に比して費やす努力が大きすぎると感じているためだと考えられた。
本研究の結果から、”好ましい”社会経済的地位にある者であっても健康を維持・増進するための機会や資源から排除されている可能性があること、社会的排除には男女で異なるパターンが存在することが示された。なお、上記の研究は国際学術誌(SSM Population Health)に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ロンドンでの研究打ち合わせが翌年に延期となったため、本年度中に英国データを用いた実証を実施できなかった。その代わり、日本で収集されたデータを用いて研究を行い、国際学術誌に投稿した。

今後の研究の推進方策

1.文献レビュー:社会的排除論の理論的背景や女性の公衆衛生ニーズとの関連について、文献レビューを継続する。また、後述する実証研究の仮説に沿った文献レビューも行う。
2.実証研究:ロンドンでの研究打ち合わせを行い、女性の健康と社会的排除の関連に関する研究を実施する。
3.保健師教育への活用:大学院修士課程での保健師養成コースで、社会的排除と健康の関連に関する講義を実施する。
4.報告書の作成:上記1から3の内容について、報告書にまとめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Does an advantageous occupational position make women happier in contemporary Japan? Findings from the Japanese Study of Health, Occupation, and Psychosocial Factors Related Equity (J-HOPE)2015

    • 著者名/発表者名
      Umeda, M., McMunn, A , Cable, N., Hashimoto, H., Kawakami, N., Marmot, M.
    • 雑誌名

      SSM Population Health

      巻: 1 ページ: 8-15

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.ssmph.2015.09.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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