本研究は東ティモールにおける国家構築の動向を、現地・東ティモールの政治文化・法文化との相克に注目して考察した。研究を進めるにあたっては、現代の国際国家構築研究が抱える方法論的な困難を指摘し、これを克服するための新たな方法論を提示した。その上で、国際アクターの支援のもと設計された制度を、現地住民たちがどのように認識し、利用したのか、それはどのような理由からか、ということを考察した。こうした考察を通じて本研究は、国家制度が土着の法文化・政治文化の中で解釈され運用されていること、さらには近年の「伝統」回帰運動の中で自由民主的な規範や制度が「外来」のものとして認識されることがあることを明らかにした。
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