銀行が保有していた顧客企業株式の売却が、当該企業向け貸出、企業パフォーマンスに及ぼす影響について、上場企業のミクロデータを用いた実証分析を行い、ワーキングペーパーとして成果をまとめた。分析の結果、2001年に実施された銀行株式保有制限規制により顧客企業株式の売却を余儀なくされた銀行は当該企業向け貸出シェアを低下させたこと、銀行が株式を売却した企業のリスクが増大したことが分かった。これらの結果は、銀行による株式保有には、銀行の貸出競争力を高め、企業の利益相反を防ぐ役割があったことを示唆している。また、非上場企業の株主属性、企業属性、企業財務が把握できるミクロレベルのデータベースを構築した。
|