本研究は,買い物弱者対策事業の効果を定量的かつ横断的に把握する事を目的として,1)買い物(食料品)への消費支出額に及ぼす影響,2)人々の買い物環境に対する主観的評価に及ぼす影響の大きく2種類の分析を行った.いずれの分析においても,買い物弱者対策事業以外に,目的変数となる買い物に対する評価指標に影響を与える種々の要素の差異も考慮したうえで,買い物弱者対策事業の効果の定量的評価を試みた. その結果,いずれの分析においても,移動販売や出張販売,宅配サービスといった「既存店舗よりも人々のより身近な範囲で店舗や品物の購入場所・機会を増やす」ための施策が一定の効果を持つことが示唆される結果が得られた.
|