研究課題
平成28年度は、有機ヘテロ界面の電子構造及び界面構造についての理解が進む、キーとなる研究成果が出始めた。昨年より推進しているPCBM/6T界面の電子構造はPCBMの側鎖の配向が大きく影響していることを見出した。より具体的には、千葉大学吉田弘幸教授との協力により、準安定励起原子電子分光(MAES)で基板加熱後にPCBM膜表面に側鎖が露出し、表面双極子層が形成されることが示唆された。それに伴い、PCBM薄膜表面の表面エネルギーが上昇し、PCBM薄膜に堆積した6T層の結晶ドメインがより大きく成長することが分かった。PCBM/6T界面の形成初期では、6TがPCBMとの相互作用によりface-on配向をとるが、6Tの被覆率が増加するにつれてend-on配向をとった結晶ドメインが形成することが分かった。電子準位接続はPCBMのアニールに依存せず、6Tの積層に伴いポテンシャル下がるが、静電ポテンシャル計算の結果、熱力学平衡を仮定した場合に起きる電子移動で説明できることが分かった。一方、私が前職から研究を進めているF16CuPc/6T積層界面については、X線回折(XRD)と走査トンネル顕微鏡(STM)で厚膜および単分子層レベルでの構造解析を行った。シリコン基板に形成したF16CuPc edge-on配向膜の上に6Tを積層すると、F16CuPcおよび6Tの回折ピークは観測されなくなる。これは構造無秩序化明らかに裏付ける。しかし、蒸着順序を逆にすると、どちらの分子層の格子面間隔とも狭くなる傾向にある。界面における分子再配向などが原因であると考えられるが、詳細な測定を現在進めている。また、物質材料機構の若山グループとの共同で、分子スケールにおける構造無秩序化の様子をSTMでもとらえつつある。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/achievement.php?6b7b