象牙質と樹脂含浸層を介して接着することから接着性レジンセメントが多用されているが,経年的に接着性が低下することがわかっている。その原因として樹脂含浸層内にある象牙質コラーゲンの加水分解が挙げられる。本研究は,象牙質を強化することで接着耐久性を向上させることを目的とした。始めに,象牙質コラーゲンの抽出法の確立を検討した。牛象牙質をタービンで切削,または機械的に粉砕し,象牙質粉末を作成した。これらの粉末をEDTAで処理して抽出した象牙質コラーゲンの熱変性温度を測定した。その結果,それぞれ55~65℃,75~80℃であり,象牙質コラーゲンの抽出は機械的に粉砕した粉末をEDTAで処理することとした。
|