研究課題/領域番号 |
15H06646
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
間中 総一郎 日本大学, 歯学部, 専修医 (00754954)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 低出力超音波(LIPUS) / 骨質 / コラーゲン / MMP / TIMP |
研究実績の概要 |
本研究では、メカニカルストレスとして低出力超音波(Low-intensity pulsed ultrasound; LIPUS)を使用して、骨芽細胞に一定時間かつ継続的に刺激を付与し、LIPUS刺激が骨芽細胞のコラーゲン代謝に及ぼす影響を検討すことであった。したがって、LIPUS刺激による骨折や骨欠損への治癒促進だけではなく、生成された骨組織が良好な骨質を有することを示し、LIPUSの臨床応用の可能性を学術的に解明するものである。 そこで、LIPUS刺激が骨芽細胞の骨形成におけるコラーゲン代謝に及ぼす影響を細胞生物学的および分子生物学的に解明することを目的とした。 その結果、LIPUS刺激により骨芽細胞であるMC3T3-E1細胞のⅠ型コラーゲン(TypeⅠcollagen; ColⅠ)の遺伝子およびタンパクの発現増加が認められた一方で、コラーゲン分解酵素であるMatrix metaroproteinase(MMP)-1, 3および13の発現減少が認められた。また、Tissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP)の発現には影響を及ぼさなかった。さらに、ATP関連受容体(P2X7受容体)のアンタゴニスト(A438079)およびMC3T3-E1細胞のP2X7ノックダウン細胞(shP2X7)を使用した実験においては、それぞれのMMPの遺伝子およびタンパクの両発現を増加させる(LIPUS刺激による発現減少を抑制する)ことが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『研究実施計画』に記載されている内容通りに、研究デザインおよびサンプル回収からデータ解析まで十分に進行している。また、その研究実績を国外の学術会議で随時学会発表し、他の研究者と討論および評価を受けているため、
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今後の研究の推進方策 |
今後は、LIPUS刺激で生成された骨組織が良好な骨質を有するかを検討するため、コラーゲンの架橋構造に及ぼす影響について、コラーゲン中のAGEs量を定量することで評価することとする。また、細胞内外に産生されるコラーゲン代謝に関与する因子の阻害剤やそれらのシグナル因子の阻害剤および遺伝子導入により関連因子のノックダウン細胞を作成し、LIPUSで増加したコラーゲンの分子生物学的および分子生物学的手法で解明することとする。
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