膵癌に対する高濃度抗癌剤投与を可能とするため、新たな薬剤送達系の開発を行った。癌組織と正常組織の微小循環の違いに着目し、正常組織には残留せずに癌組織に停滞する、極めて細径のエマルジョンを作成することを目指した。このため抗癌剤とリピオドールを用手的に混和する従来のエマルジョンを改良することとした。界面活性剤を使用し、SPG膜という内部に均一な径の孔を有するガラス膜を使用することで、単一な粒子径を有するw/o/wエマルジョン(単分散系エマルジョン)の作成に成功した。粒子径測定ではエマルジョン径がほぼ均一であることが示された。本研究で得られた基礎的知見は今後の臨床応用の礎になるものと考える。
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