研究課題/領域番号 |
15H06652
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
上條 槙子 日本女子大学, 理学部, 研究員 (80758722)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | メダカ / 性的嗜好性 / 配偶行動 |
研究実績の概要 |
本研究では,メダカにおける性成熟後の配偶者選択の嗜好性を検討することにより,動物の性的嗜好性の形成される仕組みについて明らかにすることを目的とした。 27年度では,2系統のメダカを用いて,オスの性的嗜好性が他個体との社会的経験により形成される,という仮説を検証した。この2系統のメダカは相互の遺伝子変異が1つであるにも関わらず,配偶選択において互いに自系統の異性を強く好む性質を持つ。本実験では様々な生育環境の条件を設定し,成長後のオスにおける配偶行動を定量化し,比較することで,嗜好性の形成における環境要因の特定を検討した。さらに本実験では尾鰭からのDNA採取により遺伝子型を判定し,稚魚の段階から雌雄の同定を行った。孵化後間もない稚魚には見た目の雌雄差が無いが,この過程を導入することにより,孵化直後から同性しかいない環境や異系統の異性のみが存在する環境を任意に設定することが可能となった。初年度では,まず安定した飼育環境・実験方法を確立した後に,異なる環境下での飼育条件を設定しメダカの飼育を開始した。27年度では,1)自系統のオスのみで飼育,2)2系統混合でオスのみで飼育,3)孵化後から自系統のメスと飼育,4)孵化後から異系統のメスと飼育,5)オス1個体を単独飼育の5条件で飼育を行った。 現在,十分に成長した個体から配偶行動の記録を行い,その他の個体は飼育を継続中である。今後,各メダカの性成熟後,順次データの取得を行い,配偶行動の解析・比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
孵化直後の稚魚からのDNA採取による遺伝子型判定等の実験系・安定した飼育環境を確保するために,いくつかの改良点の必要性が生じ,当初の計画よりも進行がやや遅れていることになった。現在は安定した実験環境が得られているため,今後は当初の計画に沿って実験を進めていくことが可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度により安定した実験系が確立できたため,当初の予定通り実験を行う。現在データを取得中の実験から,メダカのオスの配偶行動に影響する飼育環境の特定後,雄メダカの性的嗜好性が形成される期間を特定する。具体的には,条件a:系統別飼育後に異系統異性,条件b:異系統異性との飼育後に系統別,の2条件で飼育を行い,各飼育条件の期間を操作することで,メダカの性的嗜好性が形成される時期を特定する。27年度の実験結果から,異性との接触機会の大小が嗜好性の形成に強い影響をもたらすことが示された場合には,オスとメスの飼育の比率を変更して実験を行うなど,適宜変更を加える予定である。
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