研究課題
水圏環境中に生息する特定の鉄酸化細菌は、細胞外に中空の管(鞘)状や、らせん状の人工合成不可能な鉄酸化物構造体を形成する。これら酸化物は、Liイオン二次電池の電極材や触媒、巨大スフェロイド細胞培養基材として利用できることが報告されている。これら細菌由来の鉄酸化物を次世代機能素材として活用するには、素材の安定的大量供給が欠かせない。しかしながら、単離培養が困難な本菌の生理・生態・酸化鉱物の生成機構等には不明な点が多い。本研究では、当該細菌の単離と培養を経て酸化鉱物の形成機構を明らかにし、その形成を人為的に制御して細菌由来の新規素材の安定大量供給法の確立を目指している。本年度は、昨年度に引き続き申請者の所属する研究機関近隣における湧水箇所と当該細菌の生息について調査した。その結果、昨年度発見した商業施設内の井戸で得られたLeptothrix ochracea由来のチューブ状酸化鉄試料に匹敵する採取場所を見つけることは叶わなかった。そのため、引き続き岡山大学設置のパイロットプラントから採取したL. ochraceaを用いての形成過程の解析も続けた。また、Gallionerra ferrugineaに関しても、同様に上述の施設から試料を採取し、らせん状酸化鉄の生成過程ならびにその機構について解析した。その結果、集積培養により得られたらせん状酸化鉄は自然界から得られたらせん形状とは異なり、らせんを構成する酸化鉄繊維の本数が少なく、太くなることやらせんのピッチが短くなった。また、その構成元素にはケイ素を含まず、結晶構造も微結晶となり、自然界でみられるらせん状酸化鉄のアモルファス構造とは異なることが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biology
巻: 5(2);26 ページ: -
10.3390/biology5020026
Journal of the Japan Society of Powder Metallurgy
巻: 63(10) ページ: 869-875