化石燃料等の代替エネルギーとして世界中でバイオエタノールの持続可能性についての検討や取り組みが推進されている。多収量エネルギー作物の一つであるミスカンサス等のセルロース系の植物原料由来のバイオエタノールは、トウモロコシ等の食糧を原料とした場合と比較して食糧と競合しない、また本来農地として適さない場所でも栽培可能であり土地利用転換による土壌への炭素固定や土壌環境改善の可能性があるとされている。また福島県では放射性セシウムの除染後の農地の有効利用が喫緊の課題である。本研究において除染後の農地におけるミスカンサス栽培時のバイオマス収量の定量的データ、作物内の放射性セシウムの移行、土壌の物理性・化学性などの土壌環境に及ぼす影響を評価することを目的とする。そこで福島県飯館村比曽においてバイオエタノール生産のため、除染後の農地でのミスカンサス栽培に関する研究を行うことを目的とした。対象とするエネルギー作物はジャイアントミスカンサスとミスカンサス(Miscanthus×sinensis種)とした。栽培実験を始める前に、予備実験として北海道でのミスカンサスの栽培実績のある土地において土壌分析を行い土壌環境の評価を行った。 除染後の農地有効利用の一環としてバイオエタノール生産のためのミスカンサス栽培が行われ、バイオエタノールの製造がその地域で実現すれば福島県において再生可能エネルギー生産地となるだけではなく復興策・地域振興の観点からも大きなインパクトがあると考えられる。
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