これまでの研究経過を踏まえて、計2回のインターネット調査によって、従業員の職務態度、これまでの職務経験や現在の職位などの関係を検討した。 この研究では、組織に資する人材の職務態度として組織的同一化(Organizational Identification)を位置づけ、そのマネジメントの可能性を探ってきた。それと同時に従業員が組織(組織アイデンティティ)を如何に認識し、周囲と共有しているのかで彼らの働き方が変わると考えた。このような考えに基づいて実施した上記の調査によって次のことが明らかになった。第1に、従来の人的資源管理研究が論じてきた人事異動による人材育成や職場業績への効果は、組織的同一化(職務態度)を媒介するということ。第2に、そうした職務態度から望ましい行動が発揮されるには、彼らが周囲と同じ考えを共有できているという認識を持っていなくてはならないということ。第3に、従業員の雇用形態によって一様に人事施策が機能するわけではなく、とりわけ限定性のかかる雇用ではこれまでとは異なる管理が求められるということ。 以上のような結果が調査から明らかにされた。これらの結果が現時点ですべて論文や報告の形で発表できているわけではないが、既にまとめられた発表内容の中には上記の知見の多くが盛り込まれている。なお、現段階で執筆中のものについては、平成29年度中に発表を考えており、引き続き分析結果についての考察を行っている。
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