研究課題/領域番号 |
15H06666
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
原 克昭 立教大学, 文学部, 助教 (70318723)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 国文学 / 中世文学 / 日本思想史 / 中世日本紀 / 神代巻抄 |
研究実績の概要 |
本研究は、〈中世日本紀〉研究を思想史研究から文学研究へと発展継承することを志向したものである。研究目的として、1、資料調査を基調とした「神代巻抄」諸本系統の整理、2、「神代巻抄」再編の解読による「家学」形成過程の検証、3、「神代巻抄」の抄物資料群における位相の究明・研究史の再構築をめざしている。本研究の事前準備段階との連動性と併せた初年度の研究実績と成果は以下の通りである。 1、本研究では、調査対象とする各文庫の位置づけに沿って「予備調査」「本格調査」「補助調査」と調査の性格を区分して遂行している。「予備調査」として吉田家関連資料の大半を所蔵する天理図書館(吉田文庫)発行『吉田文庫神道書目録』を再検証(資料選定・識語調査)し、吉田家とゆかりある清原家の文庫を収蔵する京都大学附属図書館(清家文庫)、名古屋市蓬左文庫・西尾市岩瀬文庫における「補助調査」を実施した。 2、解読研究に関しては、最新の学界動向と研究文献・論文・諸本の掌握と再考証を中心に研究環境の整備に従事した。併せて、本研究の足懸りと位置づけた中世文学会シンポジウム「室町期の古典学」における発表「「日本紀の家」盛衰記・再索―吉田兼見・梵舜の家学と文芸―」を基盤に、本研究における調査成果を加えた形で「家学」形成過程の検証成果を論文化して執筆・投稿した段階である。 3、抄物資料群における「神代巻抄」の位相について、本研究の事前段階において「〈中世日本紀〉研究の射程―《神代巻抄》へのみち ―」と題した予備的提言を実施した(立教大学日本文学会大会)。そして、本研究の初期成果として、仏教文学会例会シンポジウム「寺院資料調査から拓く文学研究」では、ひろく聖教体系の位相をめぐって「寺院聖教目録の再構築と活用方策―いわき宝聚院聖教を基盤として―」と題する発表を行った。ともに、本研究にかかる調査成果と併せて論文化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、基礎資料の収集・整理を中心に研究環境基盤の整備に重点を据えた。それと並行して「予備調査」「補助調査」を遂行したが、初年度半期間のうちに「本格調査」の対象である天理図書館吉田文庫調査にまでは着手できなかった。次年度は、「予備調査」「補助調査」を基盤として、天理図書館(吉田文庫)を中心とした「本格調査」に着手することで、調査研究の進展をめざしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き研究文献・諸本資料収集を継続するとともに、目録再検証による資料選定・識語調査を基盤に、より重点的かつ効果的な「本格調査」の進展をめざしたい。「本格調査」を遂行することで「神代巻抄」の位相を、ひろく抄物資料群・聖教体系の中で明確化させ、学内外の学会・研究所講演を通して研究成果を発信する予定である。そして、研究活動スタート支援としての本研究を、より高次元で学際的なレベルへと展開させてゆく。
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