本研究は、〈中世日本紀〉研究を思想史研究から文学研究へと発展継承することを志向したものである。研究目的に沿って成果をまとめると以下の通りである。 資料調査面では、諸機関・各文庫の目録を基盤とした「予備調査」、関連機関における「補助調査」は概ね進捗したが、天理図書館吉田文庫を中心とする「本格調査」の徹底化には及ばなかった。この点は今後の課題としたい。 「神代巻抄」解読と「家学」の実態検証に関しては、国内外の学会・会議における発表・シンポジウム講演を経て論文化に及んだ。国内学会での隣接諸領域との議論、国際学会での研究成果の国際共有など、いずれも研究成果を学際的に提示する有意義な機会となった。
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