先行研究では海外子会社は個々に独立した主体として分析されてきたが、本研究の目的は海外子会社が相互に連関して事業運営している点を実証的に示し、海外子会社の研究を現代の多国籍企業戦略に沿ったものに発展させることである。本研究では、日本企業の海外子会社を対象にした統計的分析によって、ある国の子会社の撤退が周辺国(当該国と同じ地域)に存在する製造子会社のオペレーションの変化と相関していること、およびその影響は多国籍企業の海外経験および多国籍企業が保有するオペレーション移転のオプション数によって異なることを実証的に示した。
|