本研究は,ネグレクト児(N=13)の心理的回復プロセスに焦点化し,児童養護施設での支援経過を検証した。支援スタッフへのインタビュー調査などを実施したところ,心理療法導入時の児童の課題として,「会話が続かない」「表情が乏しい」「自己決定ができない」「警戒心が強い」「感情の起伏が激しい」などの用語が抽出された。回復プロセスの例として,「遊びを通して表現できるようになった」「怒りを表出できるようになった」などが示された。よって,心理的に回復することで自己表現できるようになる一方,生活場面で怒りを表出するなどの新たな課題を引き起こす可能性が示唆された。
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