申請者は、国内外の博物館、美術館を巡り、ギリシア・ローマ美術とガンダーラの仏教彫刻に見られるディオニューソス神と眷属の図像を中心に、可能な限り幅広く資料収集し、考察を行った。その結果、ギリシア・ローマ美術においては、多くのディオニューソス神と眷属の神話に関わる図像があるのに対して、ガンダーラの仏教彫刻においては、ディオニューソス神と眷属の飲酒饗宴図や交歓図が圧倒的に多いことが判明した。さらに、仏典の叙述から、ガンダーラの仏教彫刻に見られるディオニューソス神と眷属の図像が仏教の来世観である生天思想に関連していることを解明した。
|