研究課題/領域番号 |
15H06678
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐川 享平 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (30756375)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 日本史 / 炭鉱 / 在日朝鮮人 / 外国人労働者 / 移民 |
研究実績の概要 |
【研究目的】本研究は、1910~30年代における朝鮮人鉱夫の実態把握を目的として構想されたものである。具体的には、各大学所蔵の「実習報告」資料、ならびに炭鉱関係資料所蔵機関の調査を実施し、各炭田・各炭鉱における朝鮮人鉱夫の労働・生活実態とその特徴をあぶり出しつつ、炭鉱における朝鮮人鉱夫使用の展開と推移を把握することを目指す。 【研究実施計画】上記の目的を達成するため、本研究では、(1)各大学所蔵の「実習報告」資料、(2)炭鉱関係資料所蔵機関の調査、上記(1)(2)の調査に基づく(3)各炭田・各炭鉱における朝鮮人鉱夫の労働・生活実態とその特徴の分析、(4)炭鉱における朝鮮人鉱夫使用の展開・推移の把握とアジア・太平洋戦争期に関する先行研究との接続、(5)「外地」・植民地の炭鉱を分析の射程に捉える準備、という5つの課題を設定し、課題(1)~(4)を〈基幹的研究〉、課題(5)を〈発展的研究〉と位置付けている。本年度はこのうち、〈基幹的研究〉の課題(1)を継続的に実施し、その成果を基に課題(3)を進展させた。また同時に、課題(4)にも取り組んだ。 【研究成果】課題(1)では、各大学で「実習報告」資料の調査を進め、北海道大学・九州工業大学については対象資料の調査を完了した。課題(3)については、課題(1)から得られた情報によって基礎的な事実の確定を進めるとともに、各炭田間・各炭鉱間の差異や特徴を解明する作業を行った。その成果の一部は、博士学位申請論文「戦間期日本の炭鉱業と朝鮮人鉱夫――福岡県筑豊炭田を中心として」(平成28年2月、早稲田大学大学院文学研究科へ提出)に反映させている。また、課題(4)については、アジア・太平洋戦争期における朝鮮人鉱夫の実態に関する先行研究の収集と整理を進め、論点の把握に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に示した通り、本年度は課題(1)(3)(4)の実施に注力した。このうち、課題(3)(4)については、おおむね当初の計画通り進捗した。一方、課題(1)では、実施の過程において、想定以上に日数を要することが判明したため、当初予定していた調査の一部を次年度に先送りした(ただし、課題(1)は当初より2ヶ年での完遂を予定しており、研究計画の大幅な遅延は生じない見込みである)。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実施によって、課題(1)「実習報告」資料の調査では、当初の想定以上に日数を要することがわかった。原則的には、対象となる資料全冊を調査対象としているが、課題(2)~(5)の実施計画に支障を来すことのないよう、調査の進捗具合に応じ、調査対象を限定する措置を講じることとする(たとえば、朝鮮人鉱夫が就労していたことが判明している炭鉱の「実習報告」に調査対象を絞り込む、など)。
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