平成28年度は、(1) 権威主義体制の選挙制度選択に関する論文と(2)権威主義体制下の政治的景気循環に関する論文を完成させ、早稲田大学高等研究所のディスカッションペーパー・シリーズより暫定的な研究成果を英語で公刊した。(1)の論文は現在、政治学トップジャーナルでの一つで査読に付されており、(2)の論文も投稿に向けて改訂を進めている。
権威主義体制の選挙に関する単著のプロジェクトは若干進捗が遅れている。選挙不正・選挙制度と市民の独裁者への正統性認識に関するサーベイデータの収集が終わり、現在分析を進めている。理論全体をフォーマル・モデルで定式化する作業も進めている。
上記のプロジェクトのほか、権威主義体制の政治制度と体制変動に関する共同研究プロジェクトが終了し、現在政治学主要雑誌での査読に付されている。慶應義塾大学の粕谷祐子教授との共著である、選挙権威主義体制下の執政府・議会関係が民主化に及ぼす影響に関する論文は、その英語版が現在比較政治学トップジャーナルのComparative Political Studies誌でR&Rとなっており、再分析と修正ののち、第2稿を再提出した。Michigan State UniversityのCristina Bodea教授とCIDEのCarolina Garriga教授との共著である、支配政党体制が崩壊する条件を中央銀行の独立性との関連で分析した論文も、2016年度アメリカ政治学会や日本とドイツでのワークショップでのコメントを反映させたのち、政治学英語主要ジャーナルの1つに投稿した。
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