本研究は、タイにおける教育機会・環境の格差の構造と要因を明らかにし、学校教育に関する諸政策と教育実践から、子どもたちの教育機会・環境の改善がいかに図られているのかについて明らかにした。タイにおいては、地理的・地縁的理由および少子化により「小規模学校」が多くなってる。教員数の少なさを補うために、近年はICT教育に力を入れている。「山岳少数民族に特化した学校」においては、貧困脱却を教員・生徒とともに意識しており、職業教育のカリキュラムが充実している。「小学校に併設された中学校(機会拡張学校)」においては、比較的所得の低い農民や日雇労働者の子が多く通っており、中等教育機会の保障につながっている。
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