研究課題
本研究の目的は、精巣特異的に発現するヒストンバリアントH2A.Bの精子形成過程における機能を解明することである。研究責任者は、精巣に高発現するヒストンH2AバリアントであるH2A.Bの機能解析を行っており、H2A.Bを含むヌクレオソーム中のヒストンH2A.B-H2B複合体が、自発的に溶液中の他のヒストン複合体と置き換わる現象“ヒストン自己交換反応”を独自に発見しており、H2A.Bのヒストン自己交換反応の分子メカニズムを明らかにすることを目指している。平成28年度は、以下の生化学的解析、細胞生物学的解析、構造生物学的解析を推進した。生化学的解析においては、これまでにH2A.BのC末端側にヒストン交換反応を担うドメインが存在する事を明らかにしたため、このドメインを明らかにするため、更なる変異体を設計し、これらのヒストン変異体を含むヌクレオソームを用いたヒストン自己交換反応アッセイを推進した。細胞生物学的解析においては、生化学的解析において検出されるH2A.Bの自己交換反応が、細胞核内でのH2A.Bの交換の早さの要因であるか調べた。具体例には平成27年度の研究で作製したH2A.B変異体にGFPを融合したタンパク質を発現させたヒト培養細胞を用いてFRAP解析をおこなった。構造生物学的解析については、X線結晶解析と平行して、平成27年度より開始したX線小角散乱解析を継続し、大型放射光施設フォトンファクトリーにて、ヒストンバリアントや特殊なDNAを含むヌクレオソームの立体構造解析や、ヒストン交換反応にともなう構造変化を解析した。平成28年度の研究期間内においては、ヌクレオソームの生化学的・構造生物学的解析を推進し、原著論文2報を報告し、国際学会ポスター発表1件、国内学会ポスター発表2件を発表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Sci Rep.
巻: 7 ページ: 41783
10.1038/srep41783
Open Biol.
巻: 6 ページ: 160127
10.1098/rsob.160127