文法の習得において学習間隔がどのように影響するかは、まだ十分に分かっていない。そのため、本研究では、自然人工言語の学習パラダイムを用いて、学習間隔の影響を実証的に調べる実験を行った。平成27年度では、自身の先行研究(Suzuki & DeKeyser、 2015、 以下S&D)の追試実験を行った。60名の学習者を対象として、集中学習群(3日間隔で練習を4回)と分散学習(7日間隔で練習を4回)を行い、文法知識の習得にどのような影響を与えたかを調べた。ターゲットの文法項目は、スペイン語をベースにした自然人工言語の現在進行形の活用することで、実験外でその言語を学習する機会をなくし、条件を統制し、先行研究の問題点を改善した。また、練習方法としては、先行研究(S&D)と同様に、単語の学習を行い、その後、活用形の規則を明示的に提示し、活用形を覚えてもらった。そして、絵やビデオなどを見て動作を描写したり、様々なタスクを用いて、文法知識の自動化を促した。事後テストとして、原形を与えて、正しい活用形に直させる課題と絵を見せて、描写をできるだけ早く行ってもらう課題を行った。その事後テストの発話を、4名の協力者に①正しいかどうか(正確さ)と、②発話の速度(絵の提示から発話終了まで)の2つの観点から採点してもらった。現在分析の途中であるが、S&Dの結果を支持する傾向が見られているが、より実験条件を統制できたことにより、学習間隔の影響に関して、より妥当な結果を得ることができた。
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