本研究の目的は地方自治体が設置運営する適応指導教室を対象に、地方分権時代における不登校の公的支援の再編のあり方を解明することにある。この目的のもと、教育委員会を対象に全国規模の質問紙調査などを実施した。分析の結果、教室の設置状況の推移を見た場合、経年的には自治体の規模を問わず何らかのかたちで設置する割合が増加していた。その背景には自治体の自助努力に加えて、市町村規模での広域圏設置が増加し、さらに小規模な自治体を多く抱える都道府県が一貫して広域圏の教室を設置し続けている点にあった。また、不登校支援のあり方は主に教育部局が中心で、福祉・教育の連携に基づく編成を行う自治体は少数であることが判明した。
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