研究課題/領域番号 |
15H06704
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
柿本 真代 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (40759081)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 児童雑誌 / 近代日本 / リテラシー / 日記 |
研究実績の概要 |
明治期の子どもたちは何を読み、何を考え、そしてどのように表現してきたのか。本研究は、児童雑誌が創刊された明治期において雑誌が子どもたちに与えた影響について、言説分析という手法ではなく、子どもたちの肉筆から実証的に明らかにすることにより子どもの読書研究に新たな光を当てることが目的である。具体的な内容は、以下の3点である。 (1)児童雑誌本体への書き入れを調査し、書き込みの対象となった記事とその内容を分析する。 (2)日記等の史料を翻刻・解読し、雑誌に対する感想や教員の添削を抽出する。 (3)上記の個別研究を既存の雑誌研究や子どもの読書研究の成果と結び合わせることで、近代日本における児童雑誌と子どものリテラシー形成を複合的に考察する視座を獲得する。 今年度実施した主たる研究は(1)に該当する児童雑誌本体への書き入れ調査であり、調査地は関西を中心とした。大阪府立中央図書館内大阪国際児童文学館、大阪市立図書館、東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫において、主に『少年園』『小国民』『少年世界』について書き入れ調査・撮影を行った。また(2)については古書店等で子どもが書いた日記(明治~昭和期)を数点収集しデータ化を行ったほか、予備調査において収集済みであった日記に関連する史料調査に着手した。残された課題は、今年度調査しきれなかった雑誌の書き入れに関する調査(日本近代文学館および神奈川近代文学館)と論文執筆である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初予定していた亀岡市文化資料館での調査は日程等の都合により実施しなかったが、代わりに東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫における調査を完了した。今年度は半年という短期間であったために論文執筆には至らなかったが、資料調査に注力することができたため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前半に書き入れ調査の続きとして日本近代文学館および神奈川近代文学館において調査・収集を行い、論文執筆を行う。また、日記に関する調査として亀岡市文化資料館、新たに防衛庁防衛研究所史料閲覧室と東書文庫での調査を行い、9月に開催されるシンポジウムで報告を行う。
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