研究課題/領域番号 |
15H06705
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
佐渡友 陽一 帝京科学大学, 生命環境学部, 講師 (50759876)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 動物園 / ミュージアム・マネジメント / ドイツ語圏 / 米国 / ファンドレイジング |
研究実績の概要 |
3月7日から19日にかけてオーストリア、ドイツを訪問し、シェーンブルン動物園(ウィーン)、ハノーファー動物園(以下ドイツ)、ニュルンベルク動物園、シュトゥットガルド動植物園ヴィルヘルマ、ドゥイスブルク動物園でヒアリングを実施。この他、ケルン動物園およびチューリッヒ動物園(スイス)から調査票による回答を得た。
この結果、基本的な収入構造が、入園料等の来園者からの収入、自治体等からの公的支援、個人・企業からのファンドレイジングの3種類である一方、その組み合わせ方は極めて多様であることが分かった。具体的には、シェーンブルン動物園は運営は1991年に国営から有限会社の経営に切り替え、積極的なファンドレイジングによって大規模なリニューアルを実現した結果、現在は来園者からの収入を中心に賄われるようになった一方、施設に関しては大半を国が補助していた。ドゥイスブルク動物園やニュルンベルク動物園では、市が経常的な運営経費を補助していたが、施設建設に関しては動物園自身が賄う構造で、友の会を中心とするファンドレイジングが行われていた。ケルン動物園やニュルンベルク動物園では、施設リニューアルの資金を借入していたが、この借入に対して市が債務保証するという形も取られていた。ヴィルヘルマとチューリッヒ動物園はファンドレイジングの金額が大きかったが、このうちヴィルヘルマは伝統的に友の会が極めて強力であったのに対し、チューリッヒ動物園は近年になって非営利株式会社形式に切り替え、遺産の寄付を積極的に集める仕組みを構築していた。ドゥイスブルク動物園およびチューリッヒ動物園は、寄付金に対する免税措置のある株式会社で、自治体が筆頭株主を務め、運営費を補助するという形態を採っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、5つ程度の動物園でインタビューを行うことを計画していたが、実際に5つの動物園でインタビュー調査を行い、これとは別に2つの動物園から調査票による回答を得た。また、この他にも2つの動物園(ミュンヘン動物園、ハーゲンベック動物園)から情報提供を得ており、多様な運営形態が存在することを確認できた。この中で、日本には存在しない非営利株式会社という運営形態について、積極的にファンドレイジングを行うことで、公的資金と民間資金をハイブリッドしていることも確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中に米国の動物園経営について同様の調査を行い、日本の文献と照らし合わせることで、日本・米国・ドイツ語圏の3者の動物園経営に関する比較分析を行い、報告書の作成および論文発表を行う。
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