8月17日~9月5日に米国を訪問し、ヘンリードーリー動物園、カンザスシティ動物園、ブランクパーク動物園、ブルックフィールド動物園、リンカーンパーク動物園、セントルイス動物園、ブロンクス動物園のヒアリング調査および現地調査を行い、さらに10施設の現地調査を実施した。 この結果、米国の動物園ではファンドレイジングを軸とした経営が為されており、自治体の公的資金と寄付等の民間の非営利資金を用途に応じて使い分けていることが分かった。一方、米国には多様な動物園が存在し、劣悪な動物園に対しては強い批判が存在することも確認できた。 前年度調査したドイツ語圏と米国、それに日本の動物園経営の状況を比較したところ、日本の動物園は入園者・自治体・動物園のいずれも不満足な状況に陥っていることが分かった。日本の動物園は自治体の財源に大きく頼っているが、この仕組みでは政府の限界を超えた国外での保全研究活動などは進捗が難しいことも明らかとなり、公的資金と非営利の民間資金をミックスして活用する必要性が浮かび上がった。 寄付税制が改正され、新しい公共のあり方を模索する日本において、動物園は新たなあり方を模索すべき段階にあり、具体的には本格的なファンドレイジングを実現するための構造改革と、動物の幸せに敏感な人たちを味方にする動物福祉を導入することで、地域住民・自治体・動物園の3者いずれにとっても良いWin-Win-Winの関係を構築することが求められることが分かった。 以上の内容を報告書にまとめ、学術リポジトリに掲載した。
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