日本の動物園経営は、意思決定と歳入構造に課題があるとされる。米国およびドイツ語圏の動物園経営についてヒアリング調査を実施した結果、両地域とも直営から非営利法人への切り替えが行われており、それに伴って意思決定と歳入構造の両面で改善が図られていた。この際、国外での保全研究活動に行政補助を使えないという制約が両地域に見られたことは、日本においてこの種の取り組みが進展しない一因を明らかにしたものと言える。今後の日本の動物園経営の改善のためには、本格的なファンドレイジングができる構造改革と、動物の幸せに敏感な人々を味方にする動物福祉の充実が重要と考えられる。
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