研究課題/領域番号 |
15H06709
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研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
向井 健 松本大学, 総合経営学部, 講師 (50756765)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 玉井袈裟男 / 青年学習運動 / 地域学習 / 暮らしの再構築 / 農村の地域づくり / 戦後社会教育実践史 |
研究実績の概要 |
今年度の課題は、①戦後の農村青年における地域学習運動の展開過程とその論理の析出、②現代の農村に生きる若者のライフコース選択とその要因の解明、の2点であった。 ①の課題に関しては、戦後、信州を中心とした農山村において生活現実を切り拓く主体を育む農村青年による学習運動に取り組んだ玉井袈裟男氏(信州大学名誉教授・故人)らの実践の展開過程とその論理の析出を目的とし、当時の学習運動に関わりを持った関係者を対象とした聴き取り調査を試みた。あわせて『農村青年通信講座』をはじめとする資料の収集及び分析に取り組んだ。 また②の課題に関しては、松本市の各地域に配置された「地域づくりインターン」の協力を得ながら、松本市内の中山間地域(四賀・入山辺地区)における若者主体の地域づくり実践に参加するとともに、四賀地区在住の若者を対象としてライフコースの選択要因に関する調査に取り組んだ。 本年度において、①、②の課題に取り組むことを通して、人々の暮らしのあり様を規定している要因を捉え直す学習の論理を明らかにするとともに、これからの地域を主体的に担う若者を育む地域学習のもつ現代的な意義と可能性について検討することができたといえよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「おおむね順調に推移している」のではないかと考える。 本研究において対象としている玉井袈裟男氏に関する資料については、玉井氏が晩年在籍していた松本大学地域総合研究センターほかから協力が得られている。また、当時、地域づくりに取り組んだ方たちからの調査協力も得られており、順調に調査が進められているといえる。また飯田市調査では、当時のことを知る公民館職員や、現役の社会教育主事の方と一緒に調査をすることができるなどもできている。 若者のライフコースの選択要因調査は、四賀地区での調査対象者を広げ、次年度以降も聴き取りを行っていきたいと考えているが、本研究における調査をひとつのきっかけとして、四賀地区へとI・Uターンしてきた若者の思いを聴き取る「地域づくりワークショップ」の開催に向けた話がすすめられている。そうした成果も含めて考えてみれば、「おおむね順調に推移している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究をより推進していくために、下記の3点のアプローチをとっていければと考えている。 第1として、調査対象地域で活動をする公民館職員に協力を得ながら、研究を進めていきたいと考えている。そうすることで研究の推進になるというだけでなく、その地域の学習運動の発展にもつながるのではないかと考えている。 第2として、松本市四賀地区の地域づくり協議会に協力を得ながら、6月に地区住民の参加のもとで「まちづくりワークショップ」を開催するなど、地地域づくり協議会とともに実践を組織しながら、研究を進めていきたいと考えている。 第3として、申請者が所属する社会教育・生涯学習研究所のメンバーに協力を得たいと考えている。社会教育・生涯学習研究所は、下伊那テーゼの策定に関わった前所長の島田修一氏をはじめとして、信州の社会教育実践史に詳しい方が多く在籍している。これまでの研究所の成果にも学びながら、研究を進めていくことができればと考えている。
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