本研究は、立法裁量に対する裁判所による司法的統制という問題について、裁判所による実行可能で、かつ人権保障に資する新たなアプローチを構築するという見地から「準手続審査」に関する議論を展開させるという目的の下で行われてきた。初年度は、当該審査手法の抱える問題として指摘される「立法府の優位性」について検討を行い、伝統的に権力分立原理から導かれる対等な機関への尊重という概念は準手続審査と両立し得るものであることを示した。次年度は、裁判所が議会に対して敬譲を示す場合の「議会の自浄機能」という問題について議会の立法過程の実態から検討を行い、議会の自浄メカニズムは現実には機能していないことを示した。
|