口腔扁平上皮癌において、血液型抗原Lewis yがEGF受容体(R)に付加され、EGFRのリン酸化を抑制し、悪性形質を減弱することを示した。そのメカニズムとして、EGFRに付加されたLewis yが、EGFRにあるEGF結合サイトを妨害し、その結果、EGFRの2量体形成が減少し、EGFRのリン酸化が減弱することが示された。また、Lewis yの発現低下により、癌細胞はEGF刺激により剥がれやすくなり、また、細胞外マトリックスへの接着能が低下する。このことより、癌細胞がより異なる部位へ移動しやすい環境をLewis yの発現低下が作り、癌細胞の悪性形質増強の一端を担っている可能性が示唆された。
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