研究目的は、幼児の表現の基礎となる鑑賞力を高める教育方法の開発である。その手立てとして、日本の伝統絵画を活用した。伝統絵画の活用で複数の感覚がつながり、能動的な鑑賞活動が可能になるという研究仮説を立てた。 そこで、学生と幼児を対象に、日本の伝統絵画を鑑賞させる実践を行った。その結果、感覚間相互作用を促進する作品には、工芸性、装飾性、反復性、単純性などの特質が顕著にみられることが明らかになった。特に工芸性および装飾性の高い作品には、視覚以外の触覚や身体感覚を活用する造形的要素が認められた。このように、日本の伝統絵画の幾つかが、幼児を対象とする鑑賞教育法として有効であることが明らかになった。
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