本研究は、「伝統文化」をキーコンセプトとして、哲学的な「教育人間学」と民族誌的な「教育人類学」という2つのeducational anthropologyの接続を試み、新たな「教育人類学」を展開することを目指した。その過程で、educational anthropologyは二分法的ではなく、少なくとも生物学的、哲学的、文化人類学的、歴史人類学的という4領域からのアプローチが可能であることが明らかになり、こうした視点から、まず日本における研究動向を整理した。また、その成果に基づいてモースの贈与交換論を再定位し、伝統文化と教育を結ぶ「教育のアンソロポロジー」についての新たな見通しを得た。
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