本研究は,ストレスを肯定的に評価することが,ストレス状況下での選択的注意機能低下を防ぐことができるかを検討した。ストレスの肯定的評価とは,ストレス状況下において,「ストレスは有害ではなく,課題遂行を手助けするものである」とストレスの認知的評価を変える方略である。そこで,本研究ではストレスを負荷した参加者に対して,ストレスを肯定的にとらえる教示を与える群と,ストレスを無視する教示を与える群を設定し,それぞれの教示を与えられた後の選択的注意機能を検討した。その結果,ストレスを肯定的に評価した群において,ストレス状況下であっても選択的注意機能が維持されることが明らかとなった。
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