本研究は、地域住民の睡眠と糖尿病の関連を生体リズムの視点から明らかにすることを目的に、地域住民の睡眠の実態を把握するための質問紙調査を行った。京丹後市の特定健康診査の結果報告会に来所した人を対象に質問紙を配布した。質問紙の内容として、主観的な睡眠はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、食事のタイミング(朝食の欠食、1日の初めに食事を食べる/最後に食事を食べる時刻)についてはオリジナルの質問項目を用いてたずねた。基本属性は、年齢、性別、地域、身長、体重、血圧、HbA1c、服薬の有無、治療中の疾患の有無、仕事、世帯構成、喫煙、飲酒などについてたずねた。HbA1cの値によって、5.5以下(健康群)、5.6~6.5(予備群)、6.6以上(糖尿病群)の3群に分けて、睡眠習慣を比較した。 約2300部の質問紙を配布し、1606部回収できた(回収率69.8%)。そのうち、40~74歳の対象である1124人のうち、欠損のあった168人、シフトワーカー・精神疾患のある人・睡眠時無呼吸の疑いの強い人に該当する105人を除いた851人(平均年齢64.9±7.3歳、男性361人、女性490人)を分析対象とした。 対象者属性のうち、HbA1cと年齢・BMIで、それぞれ正の相関がみられたため、年齢とBMIを共変量に投入した共分散分析を用いて、3群の睡眠習慣を比較した。PSQI総合得点において、3群に有意な差はなかった。睡眠効率においてのみ、糖尿病群が健康群・予備群に比べ低い傾向があり、睡眠の質が悪かった。 今回の結果から、糖尿病予備群と健康群で睡眠習慣に大きな差はなく、具体的な介入の視点は見いだせなかった。しかし、どのグループにおいても睡眠の質が悪い人がいることに加え、標準偏差が大きく個人差が大きい結果だったため、個別の関わりが必要であると考える。
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