本研究は、在日外国人ケア労働者の異文化性を介護現場に活かすことに着目し、①外国人と日本人が協働できる「協働文化」、②外国人の母国的ケアと日本的ケアが融合した「異文化間ケア」の応用的研究であり、介護現場の実態調査を基に進めている。 本年度は5つの介護施設において、外国人ケア労働者15名、日本人管理者4名、日本人スタッフ10名を対象に半構造化面接を行い、協働文化への要素を探った。また、ケアの文化差の把握に向けて、2名の外国人ケア労働者の高齢者へのケア現場の参与観察を実施した。 外国人への面接では、1)母国と日本とのケアの差異・期待、2)外国人と日本人の関わり方、3)日本人への期待、受ける配慮、4)高齢者へのケア、5)サポート関係、などである。日本人へは、1)外国人へ求めること、配慮、2)外国人と日本人の関わり方、3)外国人の高齢者へのケア、などである。参与観察では高齢者への入浴介助場面にて、外国人のケア、コミュニケーション、高齢者の反応などを観察した。 得られた成果の1部は学会発表を行った。その中で、外国人が求める協働要素として、日本文化や仕事内容について不安や困難を相談できる日本人「文化仲介者」の存在、施設で共に働く母国人同士のサポートが適応へ重要であった。現場の日本人スタッフが求める協働要素としては、外国人への「柔軟性」の期待、“外国人”であることを強く主張するよりも「日本環境に適応しよう」という外国人の気持ちの必要性、が示唆された。 他のデータに関しては現在分析中であり、得られた結果から質問紙調査の基盤を構成していく。
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