研究課題
脳血管障害発症後,継続したリハビリテーションを受けられず歩行能力が低下し,介護が必要となる脳血管障害後片麻痺者(以下,片麻痺者)が多いことが大きな社会問題となっている。片麻痺者が健康的な生活を送るためには,介護予防事業で行われる体操教室や自宅で行える簡単で効果的な運動療法の開発が必要であると考えられる。そこで,本研究では,片麻痺者の歩行能力低下を改善するための運動療法とその適応を明らかにするため,課題1として身体機能障害と曲線歩行動作との関係を調べ,課題2として長期的な曲線歩行練習の効果と効果が得られやすい対象者の特徴を調べることを目的としている。今年度は課題1のプレ実験を行い,課題1,2の研究計画を完成させ,実施に向けて準備を整えた。地域在住の片麻痺者15名を対象とし,3次元動作解析装置を用いて歩行測定を行った。また,身体機能測定として,片麻痺機能評価,痙縮の程度,感覚,下肢筋力,関節可動域の測定も行った。歩行対称性や下肢協調性と歩行速度の関係を調べた結果,歩行速度が速いほど歩行対称性や下肢協調性が良かった。下肢協調性と身体機能との関係を調べた結果,両下肢内における下肢協調性は膝関節伸展筋力が大きいほど良かった。このことから,曲線歩行練習を用いて歩行対称性を改善することで歩行速度が向上する可能性が示唆された。本研究の結果は,2016年5月に学会発表を行うことが決まっている。
3: やや遅れている
今年度は,本研究実施のため,プレ実験と事前準備を整えた。地域在住の片麻痺者を対象とするため,測定実施場所までの移動距離を少なくするなど対象者の負担を減らす必要があった。そのため,測定場所を含めた研究実施方法を再考する必要があり,研究計画の立案に時間を要した。
対象者の負担を軽減するため,対象者が通いやすい施設や対象者が利用している施設内で測定を行う。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Gait Posture
巻: 45 ページ: 35-40
10.1016/j.gaitpost.2016.01.006
Arch Gerontol Geriatr
巻: 61 ページ: 197-201
10.1016/j.archger.2015.05.010