研究課題
昨年度、in vitroの実験においてE2F3遺伝子のグアニンリッチ領域が転写終結のシグナルになるという知見を得た。そこで、翻訳後のアミノ酸配列が変わらないようにE2F3のグアニンリッチ領域のグアニンを出来るだけシトシンに置き換え、グアニン量を減らしたサイレント変異体型E2F3発現プラスミドを構築し、正常細胞とがん化させた細胞に導入して発現量を比較した。がん化させた細胞においては野生型とサイレント変異型E2F3の発現量に差は見られなかったが、正常細胞においては野生型に比べてサイレント変異型E2F3の発現量がわずかではあるが高かった。このことより正常細胞においてE2F3のグアニンリッチ領域が発現抑制に働いており、その発現抑制機構はがん化した細胞において破綻していると考えられた。次に、研究協力者より核酸の四重鎖を認識するBG4抗体を譲渡してもらい、正常細胞とがん化させた細胞においてBG4抗体で免疫染色を行った。BG4抗体のシグナル強度を比較したところ、がん化した細胞ではmRNAの四重鎖形成が抑制されると予想されたが、逆にシグナルはがん化させた細胞の方が高かった。E2F3のmRNA の総量はがん化のシグナルにより約6倍増加していたことから、四重鎖を形成しているE2F3mRNAの量を定量解析し、「四重鎖を形成しているE2F3mRNAの量をE2F3mRNAの総量で割る」ことで、「四重鎖を形成しているmRNAの絶対量」ではなく、「mRNAの総量に対する四重鎖を形成しているmRNAの割合」として比較・検討する必要性が考えられた。まだ、E2F3のグアニンリッチ領域において核酸の四重鎖形成がされているという直接の証拠を得ることは出来ていないが、細胞内においてもE2F3のグアニンリッチ領域が発現制御に関わっており、この発現制御機構ががん化のシグナルの影響を受けている可能性を示唆する結果を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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