日本における慢性心不全患者の再入院率は高率であり、心不全悪化による入退院の繰り返しは生命予後を悪化させるため、心不全の症状を早期発見、治療し、急性増悪による入院を回避することが重要である。症状悪化の兆候を早期発見、対処し、心不全の急性増悪の発症を回避するためにはセルフモニタリングがそれらの解決の糸口となると考える。本研究では、慢性心不全患者のセルフモニタリングを促進することに焦点を当て、外来看護支援を明らかにすることで、外来看護支援指針を開発することを目的とした。 本研究では、専門的な外来看護支援を明らかにするために、慢性心不全看護に精通した慢性疾患看護専門看護師あるいは慢性心不全看護認定看護師で外来看護を行っている看護師を対象に、インタビュー調査を行った。インタビューの内容を質的に分析した結果、7つの外来看護支援が明らかになった。慢性心不全患者へのセルフモニタリングを促進するための支援は、「身体に関心を向ける支援」、「データの解釈を支援」、「症状と知識をつなぐ支援」の3つの基盤となる支援を行いながらも「セルフモニタリングを強化しすぎない支援」を行い、患者が自己の症状やデータにとらわれすぎないか確認しながら、情報の伝え方を配慮していた。さらに、「心不全の悪化を防ぐ支援」、「病状の悪化に対処するための支援」、「生活に広がりや楽しみをつくる支援」につなげていた。 以上の結果より、慢性心不全患者のセルフモニタリングを促進するための外来看護の指針となる支援を示すことができた。セルフモニタリングは、症状の悪化の徴候を早期に発見し、対処できる一方で、患者が症状やデータにとらわれてしまわないよう配慮が必要になってくる。今後は、それらを考慮しながら支援指針を発展させていく必要があると考える。
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