「死が間近である」ということを終末期がん療養者と周囲がどのように認識しているか(終末認識Awareness of dying)によって、訪問看護師がどのように対応しているのかを、感情・行動の面から明らかにすることを目的に質問紙調査を行った。訪問看護師400名(回収率61%)から回答が得られ、387件(有効回答率59%)について量的に分析した。 (1) 終末認識の4つのパターン(閉鎖認識/疑念認識/相互虚偽認識/オープン認識)の割合が明らかになった。結果は、1999年に研究代表者が病棟で実施した調査結果と大きく異なっており、時代や場所による違いが明らかになった。諸外国の調査結果とも相違がみられ、日本の文化的・社会的特徴の反映が示唆された。同様の調査は本邦では殆どなされておらず、重要な知見が得られた。 (2) 訪問看護師の在宅終末期がん療養者に対する対応について尺度を作成し、3つの因子が明らかになった。 (3) 終末認識のタイプによる「訪問看護師の在宅終末期がん療養者に対する対応」について、量的に分析し重要な知見が得られた。結果は1999年の研究代表者の調査結果と類似していた。また、終末認識のタイプによる「訪問看護師の在宅終末期がん療養者に対する対応」とGOOD DEATHとの関連についても量的に分析した。これらの関連性に関する研究成果は世界において殆どなされておらず、先駆的な知見が得られた。 (1)~(3)について、"20th EAFONS (East Asian Forum of Nursing Scholars)"にて学会発表を行った。今後、"IAGG (International Association of Gerontology and Geriatrics)"で学会発表を行うと共に、論文投稿による発信を予定している。
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