生活課題を抱えながらも、自ら支援を求めず地域とのつながりが希薄な社会的孤立高齢者の特性を明らかにし、地域に潜在化しているこれらの高齢者を見極め支援する方策を検討した。 研究デザインは横断的実態調査研究である。 A市のB地区における65歳以上の高齢者を対象に郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。①友だちの家を訪ねている②家族や友人の相談にのっているの質問項目の両方に「いいえ」と答えた者を社会的孤立高齢者と操作的に定義し、定義に該当しない者との比較を行った。さらに社会的孤立高齢者を従属変数とした要因分析を行った。 社会的孤立高齢者に該当する者は全体の2割を占めていた。年齢、性別および同居家族の人数において有意な差は認めなかった。一方、主観的健康感、移動能力、IADL、うつ傾向、地域への愛着、町会・自治会等への加入状況について有意な差を認めた。また、要因分析では、社会的孤立高齢者の方が移動能力が低い確率が4.1倍であり、移動能力の低下と孤立の関連を示した先行研究と一致した。加えて、社会的孤立高齢者は、預貯金の出し入れ(IADL)をしていない確率が2.1倍、うつ傾向の状態である確立が2.8倍、町会・自治会等について未加入の確立が2.8倍であった。これらのことから社会的孤立高齢者は、身体機能に加え、生活意欲の低下をきたしていることが示唆された。また、自ら支援を求めず、潜在化している社会的孤立高齢者の把握には、町会・自治会等への加入記録などを手がかりに、アウトリーチ活動の中で、個別性の高い対応を図っていくことが重要である旨の示唆を得た。
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