本研究は、独居生活を希望している認知症高齢者が、自分の能力を活かしながら安全に在宅生活を継続していくためのアセスメントツールを開発し、信頼性・妥当性について検討することである。特に、認知症高齢者の独居生活の限界を指標を定めることを本研究の特徴としていた。 アセスメントツールを作成するための質問紙作成の過程において、①文献検討、②介護支援専門員・訪問介護職・訪問看護師らへのインタビューを実施した。文献検討の結果から、項目として「本人のADL状況」「認知機能」「健康・安全面の管理」「地域住民との交流」「家族の支援体制」などが挙がった。②の専門職へのインタビュー実施していくなかで、認知症が進行して「本人の希望が揺らいでくる可能性」や当初は在宅生活を希望していたものの「認知症の進行とともに意思表示が困難になっていくこと」、「安全な生活は確保できたとしてもQOLの低下や尊厳の保持が脅かされる状態」などが、新たな問題となった。最も、考えさせられたのは「安全で身体的に健康状態が保てても、下半身何もつけず、1人で壁に向かってしゃべっている高齢者を、本人の希望だからと、独居生活を継続支援していてよいものか・・」という意見であった。そのため「認知症者の尊厳」や「認知症者のQOL」に関する文献検討や臨床家、認知症の専門家とのディスカッションを重ねた。現在、それらを踏まえたうえで、質問紙の作成をおこなっているところである。 本研究は、期間内に完成することはできなかったが、今後も計画を追加修正していきながら、最終的には、臨床の現場で活用できるアセスメントツールの作成を目指していくこととする。
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