結晶質炭化ケイ素繊維は、非晶質Si-Al-C-O繊維を1500℃以上の高温のアルゴン中で加熱することにより合成され、2000℃までの優れた耐熱性を示す。この合成プロセスでは、COガスの脱離を伴う“化学量論的組成のSiC構造を得る為の分解反応”と、それに続く“焼結現象”が一本一本の繊維内部で進行する。また同時に進行する、繊維中の酸化物相からのSiOガスの蒸発脱離が、繊維表面でのSiC結晶の異常粒成長や化学量論的組成からのずれを生じていた。そこで、厳密な制御の元、上記SiOガスの蒸発脱離を抑制し、結果としてより化学量論的組成に近いSiC組成からなる結晶質炭化ケイ素繊維が得られる可能性が見い出せた。
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