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2015 年度 実績報告書

血清中エクソソームに着目した神経障害性疼痛の増悪機構解明と治療法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15H06795
研究機関第一薬科大学

研究代表者

濱村 賢吾  第一薬科大学, 薬学部, 助教 (30756466)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワードエクソソーム / 疼痛
研究実績の概要

エクソソームは血液などの体液に含まれる直径約40-150nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が、疼痛強度の指標となることが示唆されている。しかし、エクソソームに関する研究はバイオマーカーの探索が主であるため、エクソソームと疼痛発症および疼痛強度の増強との関連性は解明されていない。そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮(PSL)マウスを用い、PSLマウス血清中エクソソームの侵害刺激行動に対する影響を偽手術(Sham)群と比較検討した。
疼痛発症に関する検討として、PSLマウス血清中エクソソームの脊髄クモ膜下腔内単独投与を行ったが、下腿部位へのLicking/Bitingなどの自発的疼痛関連行動は認められなかった。一方で疼痛強度に関する検討では、PSLマウス血清中エクソソームは、Sham群と比較し低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動に対して有意な時間延長を認めた。
以上の結果により、エクソソームは疼痛発症には関与しないことが示唆された。また、PSLマウス血清中エクソソームに存在する因子が脊髄侵害刺激シグナルを亢進させ、低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動を増強しているものと推察された。今後は、疼痛強度を増悪させる因子を明らかとすること、およびエクソソーム中の疼痛強度増悪に関与する因子を排除することで痛みを抑制できるという新規治療標的の確立を目標とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、坐骨神経結紮マウスの血清から単離したエクソソーム中に、疼痛悪化を助長する因子が含まれている仮説を行動薬理学的側面を主とした方法で証明することができた。しかし、血清エクソソーム中に含まれている疼痛悪化因子がサイトカインであると仮設を立て同定を試みたが、関与しないことが示唆された。そのため、おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

血清エクソソーム中に含まれている疼痛悪化因子がサイトカインであると仮設を立て同定を試みたが、関与しないことが示唆された。そのため、今後は血清エクソソーム中の疼痛悪化因子として、エクソソーム二重膜上のタンパク質に着目し検討を行う。
具体的には、坐骨神経結紮マウスの血清から単離したエクソソームの膜タンパク質を削いだ群を設定することで、二重膜上のタンパク質の重要性を検討する。
また、行動薬理学的所見のみならず、脊髄後角の組織切片におけるミクログリアの活性化比較を行うことで免疫組織学的検討をも行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Alterations of Hepatic Metabolism in Chronic Kidney Disease via D-box-binding Protein Aggravate the Renal Dysfunction.2016

    • 著者名/発表者名
      Hamamura K, Matsunaga N, Ikeda E, Kondo H, Ikeyama H, Tokushige K, Itcho K, Furuichi Y, Yoshida Y, Matsuda M, Yasuda K, Doi A, Yokota Y, Amamoto T, Aramaki H, Irino Y, Koyanagi S, Ohdo S.
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 291 ページ: 4913-4927

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.696930

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Circadian Clock in a Mouse Colon Tumor Regulates Intracellular Iron Levels to Promote Tumor Progression.2016

    • 著者名/発表者名
      Okazaki F, Matsunaga N, Okazaki H, Azuma H, Hamamura K, Tsuruta A, Tsurudome Y, Ogino T, Hara Y, Suzuki T, Hyodo K, Ishihara H, Kikuchi H, To H, Aramaki H, Koyanagi S, Ohdo S.
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 291 ページ: 7071-7028

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.713412

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mitomycin C modulates the circadian oscillation of clock gene period 2 expression through attenuating the glucocorticoid signaling in mouse fibroblasts.2015

    • 著者名/発表者名
      Kusunose N, Matsunaga N, Kimoto K, Akamine T, Hamamura K, Koyanagi S, Ohdo S, Kubota T.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 467 ページ: 157-163

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.09.086

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 体内時計分子機構と外的要因が耐糖能日周リズムを形成する2015

    • 著者名/発表者名
      濵村賢吾
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      公益社団法人 日本薬学会の学会誌「ファルマシア」, 2015年12月号

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公開日: 2017-01-06  

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