平成27年度までの研究をもとに、「行政保健師のための里親支援のための研修会」として「里親現状」「里親制度」「里親母子保健事業利用調査結果」「母子保健事業利用時の里親の声」「里親に関する保健師へのインタビュー結果」「グループワーク」の項目で資料を作成し、平成28年6月に福岡大学の倫理審査の承認を得た。 平成28年7月~11月において、研究協力に承諾の得られた盛岡市、鹿児島市、伊万里市、札幌市の母子保健・児童福祉担当職員計72名(内保健師49名)に対し里親支援に関する研修会を各現地機関で実施した。研修受講前、研修受講直後及び研修受講後3か月目にそれぞれアンケート調査を実施し、研修に対する<興味><役立ち><理解><知識定着><実践の自信>の観点で学習効果の検証を行った。「興味」「役立ち」については研修直後に10段階で評価し、<理解><知識定着>については研修実施前、実施直後、及び3か月後に知識に関する設問で評価し、<実践の自信>については、実施直前、直後と3か月後で10段階評価を比較した。 保健師49名分のアンケートの分析結果では、<興味>に関しては「里親制度」への興味が最も高く平均9.224、次いで「里親の声」が9.163、「保健師へのインタビュー」が8.918と続いた。<役立ち>では、「里親制度」が9.510と最も高く、次いで「里親現状」が9.163、「里親の声」が9.102と9ポイント以上の評価であった。里親支援に関する<実践の自信>では、実施前は平均4.464であったが、研修会直後は7.878と3.414ポイント上昇した。3か月後については、里親支援を実践したものからのみの回答で6.889であった。研修会直後より低下したものの、研修前より2.425ポイント上昇していた。 研修会の実施が、保健師の里親支援能力向上に寄与すると示唆された。
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